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2020/02/06 20:29

工房訪問 / アルミ作家 永瀬二郎

STUDIO VISIT / JIRO NAGASE / ALUMINUM

東京にある永瀬さんの工房を訪ねました。
去年独立したばかりで、今後がとても楽しみな作家の一人です。

金属を扱う作家の工房へ行くのは初めてだったので、私自身とてもワクワクしていました。
工房は昔小学校だった場所の一室で、中へ入ると想像以上に広々とした空間に様々な種類の機械が並びます。

↑アルミは削る際に非常に細かい粒子が飛び散り、吸い続けると人体に影響が出るのでシートで囲っています。
↑ここではアルミを火で温めて変形させたりします。

永瀬さんの作品は、一つに対してそれぞれ別の工程で加工を施すために、必然的に機械が増えていくようです。
多様な工程を必要とする永瀬さんの作品は、作業的に非効率な部分もありますが、作家として愚直に作品と向き合っているように感じました。

只々いいモノを作りたいという思いが十分に伝わってくる永瀬さんに対して、私もそれに応えられるように作品を伝えていきたいと胸が熱くなります。

↑多様な機械がある中、個人的に気になったのがこちらのオブジェのような塊…
聞くとこの上にアルミを置いて金槌で叩くようです。
実際に叩いてもらうと、かなりの高音と共に振動が伝わってきます。金属の中では柔らかいとは言え、かなりの重労働です。

こちらは改良中のスタンドライト。良い佇まい。
↑全体図。
↑3Dプリンターで作ったレジンパーツ。接合部分に使用するようです。

↓試作品たち…
これらの試作品を見ているだけで楽しくなってきますが、製品化するまでには毎回とても長い時間をかけるようです。

↑モンゴルの民族楽器。馬頭琴。
↑インドの民族楽器。

意外にも楽器オタクな永瀬さん。
馬頭琴は馬のしっぽを弦にしており、伸びの良いきれいな音色です。インドの民族楽器は空気を送り出す事によって音が出ます。
これら様々な民族楽器は、製作においてのヒントになるようです。

永瀬さんは楽器を収集するだけでなく、ご自身でも制作されています。↓

これは軸の芯が回って周りのギザギザに当たると音が出る仕組みです。
筒の長さや位置を変えると音も変わり、変則なリズム音がとてもくせになりずっと聞いていたくなります。
ギザギザを作るのに3Dプリンターが大活躍しているようで、製作期間も1ヵ月かかったとか。

永瀬さんは本当に楽器が好きなようで私と話している時も、楽器の話題になると奥から様々な楽器を見せてくれ、嬉しそうに説明して下さいました。

下の写真は製作途中の作品たち。
↑名刺入れ。使用していくうちに、表面のアルミにツヤ感が出てきて馴染んでいきます。
↑お皿になる前のアルミ板。

永瀬さんの作品は、シンプル故に一見工業製品のようにも見えますが、非効率で細やかな加工を施すことで唯一無二のアルミ作品となります。

シンプルなデザインが多いために、本当に自身の作品に存在意義を与えることが出来るのかを長い時間かけて考えるのだと思います。
作りたいモノを自由に作るというよりは、いかに自身の作品を世に残すか。少し大袈裟かもしれませんが、私は永瀬さんのこの貪欲さにすごく惹かれるのかもしれません。


(楽器の説明をしてくれている永瀬さん)