石の圧倒的存在感
上の画像は神奈川県小田原市、根府川の採掘場。圧倒的な石の存在感にひたすら興奮気味でした。板状節理と呼ばれる板状に削れる美しい岩肌です。
~ バナナスタンドを制作した経緯 ~
愛知県岡崎市は日本有数の石のまちとして知られており、
石好きの私にとって岡崎の石材屋と何か物作りをしたいというのはとても自然な発想でした。
そんな事を考えている時にINASEさんと出会い、世界中の石サンプルの中から根府川石に辿り着きます。経年変化によって生まれる独特の表情と鋭利なフォルムに自然素材の美しさを感じ、
この素材の魅力が最大限に伝わるプロダクトを作りたいと思ったのがバナナスタンドを制作するきっかけです。
今後も根府川石のプロダクトは様々な展開を考えています。
~ 根府川石の魅力 ~
根府川石の魅力は、経年変化によって生まれる表情と板状に削れる鋭利なフォルム、硬く波打つ割肌にあると私は思っています。
明治期には関東の銘石として様々な用途にも使用されていたようですが、
板状に削れる特性上(板状節理)ある程度肉厚な大きさを必要とする墓石などの加工は難しく需要が年々減っているのが現状で、現在の用途としては主に庭石や句碑などが多いようです。
また産出としては「根府川石材」の代表である瀬戸さん1人で採掘を行っており後継者がいないため、瀬戸さんの引退と同時に閉山となってしまう可能性があります。
↓ 根府川石材代表 瀬戸さん
↑ 採掘している様子。石は板状に削れています。
~ 屑石たち ~
バナナスタンドに使用している石は小さく削れてしまって加工用途のない屑石と呼ばれるものです。
ただその屑石たちは需要がないために長年放置され雨水や日光にさらされた結果、とても奥行きのある表情になっています。
この表情の魅力をそのまま活かしたいと思ったので石の加工は最小限に留めています。(石の特性上複雑な加工を施すとヒビ割れしやすい)
↓ 無数にある屑石たち。この中からバナナスタンドになる石を探すのは想像以上に大変でした....
↓ 厳選したらこれだけになりました....
~ INASE ~
根府川石は何十年も前にINASEの先代がその魅力に惚れ込んだそうですが、前述した通り加工などが難しく長年倉庫で眠っていたようです。現在はINASEが企画した器なども制作していますが、先代が根府川石の魅力にいち早く気づいて大量に買い込んだというエピソードに石への愛情を感じざるを得ません。
それは100年近く歴史のあるINASEだからこその巡り合わせのように思いますし、
そんな先代や今の職人たちが愛する石だからこそ、その想いや価値を大切にしたいです。
INASE (稲垣石材店)
愛知県岡崎市上佐々木町中切8-5