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2023/03/16 12:54

今回、密着体験取材をさせていただいたのは、愛知県豊明市で作陶される成田周平さんです。
私の陶芸家に密着してみたい!という思いを快く受け入れてくださった成田さんご夫妻には本当に感謝しかありません。
1月から体験取材を開始して、合計6日間にも渡る長期取材となりましたので、ブログは前編と後編に分けています。
今回は、私も自身の作品作りを実際に土を練るところから全工程を体験させていただきましたので、その感想も踏まえてお伝えできればと思います。

また、作品の製法を様々な方に知って欲しいという成田さんのご好意もあり、このブログでは詳細な製法についてご紹介していきたいと思いますので、ご興味ある方はぜひお付き合いください。

前編では、1〜3日目までの流れをご紹介していきます。

1日目 9:00 ヒナの散歩 → 成形

まずは愛犬ひなの散歩から成田さんの1日は始まります。
犬の散歩を終え一息ついてから、本日のメイン作業でもある粘土の成形です。
成田さんが使用する土は、軽量粘土と粘土を1:2の割合でブレンドしており、作品に合わせて粘土を変えています。
粘土は主に赤土、朱泥土、瀬戸黒土の3種類を使用。

↓こちらの白い粘土が軽量粘土。
↓ 朱泥土
1:2の割合ですが、白い軽量粘土は名前の通り軽いので、体積はほとんど同じになっています。
軽量粘土を使用することは、成田さん特有の肉厚な作品をつくる上で非常に重要な要素となっています。

成田さんの作品は玉づくりという製法で、以下の写真のように土の塊から少しづつ形を伸ばして成形していきます。

↓ こちらは私が成田さんの作品を真似て作ったものです。歪です…
私はマグを一つ成形するだけで午前中が終わってしまいましたが、成田さんでも一つ成形するのに30分程度はかかってしまうようです。
↑ 成田さんが作ってくださった角煮と蒸しパンの贅沢なお昼をいただきました。ご馳走様でした!

午後からは器の成形です。
↑ 左マグ:成田さん 右マグ:私 2作目
↑ 左皿:私 右皿:成田さん
プレートに関しては、リムの立ち上げに苦戦したため、成田さんの手直しが入りました。
軽量粘土を使用しているので、この肉厚なリムの立ち上げも可能となるのですが、実践すると難しいですね。
成田さんはろくろを回しながら一定のリズムで成形しているので手跡がとても美しいです。
私も真似してやってみたのですが、ご覧の通りです…

↓ 2日目 9:00 ヒナの散歩 → 磨き作業 → 施釉
この日はガラス作家の安藤里実さんが私の作品の製作を手伝ってくださいました。 
2日目は、前回成形して乾燥させた作品に、色をつけていく作業です。
写真にずらりと並んでいるのは、釉薬などに使用される原料を水で薄めたものです。
これらを作品に4〜6層程塗り重ねていくことで、独特な色の表情がつくられます。
原料は土、灰、錫、チタン、クロム、数種類の顔料の中から土の種類に合わせて選んでいきます。


ここからとても重要で独特な作業があります。
乳棒、木や石を使って丁寧に磨いていきます。要領は光る泥団子を作るのと一緒なのですが、この作業がとてつもなく力作業なのです。
私は自分の作品2点を磨くだけで2時間以上かかり、手が痺れてしましました…
成田さんでも一日磨き作業をするとその日は手で箸を持つのも一苦労してしまうようです。
↓ 右のマグは磨き終えたもの。ピカピカです。
↓ 私のマグ。右は安藤さんが磨いてくださいました。
この日は、近年新しく製作されている白い釉薬の作品の素焼きを終えたので、施釉も行っていきます。
施釉は刷毛塗りで、4層にも重ねています。かなり肉厚な仕上がりになりそうです。



3日目 : 9:00 ヒナの散歩 → 窯出し → 高台仕上げ

原料を重ねた作品と釉薬の作品が焼き上がりました。
私のマグも無事焼きあがっております!まだまだ完成ではないですが感動の瞬間です。
3日目の作業は、私がペンチで目土を削って成田さんが仕上げていく分担で、この日は午前中で作業を終えました。
※ 目土とは作品と棚板がくっつかないように敷く土のことです。


4日目以降は後編をご覧ください。
後編では漆塗り作業、フタモノの製作過程などについて記事を更新予定です。