今回は鹿児島県南九州市で活動する陶芸家、岩切秀央さんの工房の様子をご紹介します。
この日はまず工房から少し車を走らせ、岩切さんお勧めの海岸沿いにある石スポットを4箇所連れて行ってくださいました。
地元の大工が教えてくれたという赤みのある石が多く拾えるスポット。
海岸沿いのさらに奥地へ行くと大量の粘土もあり、作品にできるか実験もしたりしているそう。
2人共半日くらい夢中で石ひろいをしていました。
工房内の様子。整然と並ぶ石膏型がとても美しいです。
岩切さんの作品は、たたら技法と言って粘土を石膏型に押し当てて成形します。
液状の土を流し込む鋳込み成形とは違い、手の力加減で歪みや個性が生まれます。
南九州市にある頴娃の土を水で溶いた化粧土。
成形した土にこの化粧土をかけ素焼きし、透明釉を施します。
頴娃の土が作品の表情に細かな濃淡と石のような質感をつくりだし、透明釉はそれらにヒビ割れたテクスチャーを加えます。
工房の隅に絵が置いてあると思って近づいたらヒビ割れしたような焦げた木板でした。
とても岩切さんらしい視点。
こちらは近年製作を始めた白の作品。頴娃の土は使っていませんが、柔らかい雰囲気をそのまま残しています。
工房2階のギャラリー。
岩切さんが学生時代から製作を続けている石のようなオブジェ作品が並びます。
岩切さんは自然と常に石の存在を身近に感じれるような環境に身を置いているように思いました。
彼のうつわ作りは、素材の特徴を活かしたシンプルな工程ですが、出来上がるものは唯一無二で今までにない見たことのないうつわです。
鹿児島で陶芸を勉強し、活動してきたからこそ生まれたもので、彼の製作に対する実直な姿勢が私はとても好きです。
こちらは岩切杏樹さんの作品。
この日私が拾った石たち。