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2024/05/18 17:59

愛知県瀬戸市で活動される陶芸家、波多野祐希さんの製作に密着させていただきました。

土に対する拘りを強く持つ波多野さんですが、作品はオブジェから器まで幅広く製作されており、そのどれもが原土を独自にブレンドしたものになります。

今回はその粘土づくりのルーツとなる工房近くの山へ土掘りにいくところから同行しました。
 灰色の土が粘土です。
素人目ではなかなか見つけづらいですが、地表に出ている明るい灰色の土を見つけていきます。


こちらは波多野さんの工房近くにある粘土山。広大な敷地にある山は全て粘土で圧巻の景色です。少し歩くだけでも靴の裏が粘土だらけになります。
波多野さんは白(木節)と黄色い土(黄土)をこの粘土山で購入しています。


 上:木節 左:黄土 右:蛙目
この3種類の粘土(山で掘った粘土も)をメインに、様々な比率でブレンドしていきます。
 まずは粘土を砕いていきます。
 ある程度細かくなってきたら篩にかけさらに細かくしていきます。
ここで篩の目の細かさを調整し、石の粒が粘土に混ざることによって作品の表情に直結していくので、とても大事な作業です。


 極限まで薄く化粧土を施し、焼成後にそれらを削り落とします。無駄な作業にも感じますが、表面に微かな斑ら模様を出すために必要な工程となります。 化粧土を塗る前 ↑  後 ↓  
こちらはオブジェ作品。深く窪みをつけた面に石を置き釉薬をたっぷり流し込みます。
石は粘土が採れる場所で拾ったもので、同じ土地の石を焼くことに拘りがあります。

窯出し中に器を吟味する波多野さん。
窯出しした作品の中で、半数程は失敗してしまうようで、しっかり形が整っているのかを確認します。
 窯出し後はこのようにしてブラシとヤスリを使い化粧土を落としていきます。
この作業は本当に大変で、1枚作業するだけでも15分はかかってしまいます。 

↓ Photo 2枚 : Kana Kurata 
器とオブジェの完成品。
 深みのある黒い土と化粧土による微かな斑ら模様が特徴的です。小石の粒もしっかり表面に出ており、それによるヒビが全体を石のような質感に見せています。オブジェは釉薬を流し込んだ面が乳濁したガラスの層になっています。一緒に焼いた石も少しだけ溶けてガラスに馴染んでいます。

vol.2に続く ↓